美容室やサロンのホームページを自分たちで作ろうと考えたとき、最初に決めるべきは「そのページに何をさせるか」です。多くの解説記事は「予約につなげる導線が大事」と書きますが、公的な調査を見ると、サロンのホームページから予約する人は多くありません。この記事では、まずその数字を確認したうえで、ではホームページに何を載せるべきかを、作る手順まで含めて整理します。
最初に、予約の実態を数字で見ておく
リクルートのホットペッパービューティーアカデミーが公表している美容センサスに、美容室利用者がどうやってネット予約しているかのデータがあります。2026年上期《美容室編》の数字です。
| ネット予約の方法 | 割合 |
|---|---|
| サロン検索・予約サイト | 42.6% |
| サロンのホームページ | 7.0% |
| LINE | 7.0% |
| サロンの独自アプリ | 3.6% |
| 1.1% | |
| メール | 0.8% |
| その他SNS | 0.6% |
お店を知るきっかけも見ておきます。
| サロンの認知経路 | 割合 |
|---|---|
| 予約・口コミサイト | 32.4% |
| 友人・知人の口コミ | 22.3% |
| SNS | 3.4% |
| まとめサイト | 2.9% |
| フリーペーパー・チラシ | 2.8% |
| キーワード検索・地図検索 | 2.6% |
| テレビ・ラジオ・新聞・雑誌 | 1.2% |
認知も予約も、予約・口コミサイトが握っています。「サロンのホームページ」は認知経路の上位に入っていません。ホームページを作れば新規のお客さんが来る、という期待は、この数字とは合いません。
出典はいずれも美容センサス2026年上期《美容室編》。調査期間は2026年1月21日〜2月12日、全国の人口20万人以上の都市に住む15〜69歳が対象で、ここに挙げたのは女性・サロン利用者の数字(複数回答)です。
では、ホームページは何のためにあるのか
同じ調査に「初回来店時の重視点」という項目があります。はじめてのお店を選ぶとき、何を見て決めているかです。
| 重視すること | 割合 | ホームページで答えられるか |
|---|---|---|
| 自宅から近い | 33.3% | 地図・アクセス |
| 料金がリーズナブル | 27.0% | 料金表 |
| 料金が明確 | 25.3% | 料金表 |
| ネットの口コミが良い | 20.5% | 答えられない |
| ネット予約できる | 18.7% | 予約への導線 |
| 友人・知人の口コミが良い | 15.6% | 答えられない |
| 交通の便が良い | 13.8% | アクセス |
| 初回割引・クーポンがある | 11.3% | お知らせ |
| ネット掲載の写真が良い | 11.1% | ギャラリー |
| 外観・雰囲気・インテリアが良い | 9.2% | 店内写真 |
| 当日・直前の予約が可能 | 7.8% | 営業情報 |
| 自分に合いそうなスタッフを見つけられる | 7.2% | スタッフ紹介 |
| 受けてみたいメニューがある | 6.2% | メニュー |
| 衛生対策がしっかりしている | 6.1% | 店舗情報 |
口コミの2項目(20.5%・15.6%)は、自分のサイトではどうにもなりません。しかし「料金が明確」25.3%、「写真が良い」11.1%、「外観・雰囲気」9.2%、「スタッフが分かる」7.2% は、すべて自分のホームページで答えられます。
ここから、美容室のホームページの役割がはっきりします。
予約サイトや口コミで見つけた人が、「このお店で大丈夫か」を確かめに来る場所です。新規を集める入口ではなく、来ようか迷っている人の背中を押す場所。そう考えると、載せるべきものも決まります。
以下、重視される順に作り方を見ていきます。その前に、どんなページを用意するかを決めておきます。
どんなページを用意するか
ブロックテーマで作る場合、用意するページは大きく3種類です。
| 種類 | 中身 | 更新の頻度 |
|---|---|---|
| トップページ | メニュー・料金、写真、スタッフ、アクセス、予約導線をひと続きに並べる | 年に数回 |
| 固定ページ | メニューが多いときの料金一覧、サロンの考え方、初めての方へ、など | 年に数回 |
| お知らせ・ブログ | 休業日、キャンペーン、新メニュー、スタッフの入退社 | 月に1〜2回 |
小規模なサロンなら、トップページ1枚でほぼ足ります。メニューもスタッフもアクセスも縦に並べてしまい、上部のメニューから各セクションへジャンプさせる作りです。ページを分けるほど、更新する場所が増えて手が回らなくなります。
固定ページに分けるのは、トップに置くと長くなりすぎるときです。メニューが50種類あるサロンなら、料金は別ページにしたほうが読みやすくなります。
お知らせだけは、最初から用意しておくことをおすすめします。年末年始の休業やキャンペーンを載せる場所がないと、結局SNSに書いて終わりになります。そしてもうひとつ、更新日が見えることには別の意味があります。最終更新が3年前のサイトは、読む人に「この店はまだやっているのか」と思わせます。月に1〜2回でも動いていれば、それだけで印象が変わります。
料金表をつくる(重視点25.3%)
もっとも重視される項目のひとつです。ここが曖昧だと、それだけで候補から外れます。
WordPressのブロックエディターなら、テーブルブロックで作るのが確実です。編集画面で「+」→「テーブル」を選び、列数2、行数はメニューの数だけ用意します。左の列にメニュー名、右の列に金額を入れます。
作るときのポイントは3つです。
- 税込か税別かを明記する。「カット 4,400円(税込)」のように書く。ここが書かれていないと、明確な料金表になりません
- 「〜」を使いすぎない。「カラー 8,000円〜」だけでは判断できません。長さ別・種類別に分けて書けるなら分ける
- 追加料金を先に書く。シャンプー代、指名料、ロング料金など、あとから足されるものを料金表の下に並べておく
メニューが多くて表が長くなる場合は、「カット」「カラー」「パーマ」のように見出し(H3)で区切り、表を分けます。1つの長大な表より読みやすくなります。
写真を用意する(重視点11.1%+9.2%)
「ネット掲載の写真が良い」11.1%と「外観・雰囲気・インテリアが良い」9.2%は、合わせて見るべき項目です。施術の仕上がりと、店内の様子。この2種類が要ります。
用意するものの目安です。
- 店内写真:入口・待合・セット面。明るい時間帯に、照明を全部つけて撮る
- 施術写真:仕上がりのスタイル。正面・横・後ろがあると伝わりやすい
- スタッフ写真:後述のスタッフ紹介で使う
スマートフォンでも十分です。ただしそのまま載せると重くなります。最近のスマホ写真は1枚5MBを超えることがあり、そのまま並べるとページが開くまでに数秒かかります。
対策は2つです。
- アップロード前に長辺1600px程度へ縮小する。ホームページの表示にはこれで足ります
- WebPで書き出す。同じ見た目でファイルサイズが小さくなります。WordPressはWebPに対応しています
ブロックエディターでは、複数枚をまとめて見せるならギャラリーブロックを使います。「+」→「ギャラリー」で画像を選ぶだけで、スマホでは自動的に縦並びになります。
スタッフ紹介をつくる(重視点7.2%)
「自分に合いそうなスタッフを見つけられる」が7.2%。数字としては小さく見えますが、指名につながる項目なので、単価に効きます。
載せる内容は、名前と写真だけでは足りません。読む人が「合いそう」と判断できる材料が要ります。
- 得意な施術(ショートカット、白髪染め、縮毛矯正など)
- 経験年数
- ひとこと(どんな雰囲気の人か伝わる文章)
レイアウトはカラムブロックが便利です。「+」→「カラム」で人数分の列を作り、各列に画像と文章を入れます。スマホでは自動で縦に積まれます。
アクセスと営業時間(重視点33.3%・13.8%)
「自宅から近い」33.3%は全項目で最多です。ただしこれはホームページだけでは解決しません。近くのサロンを探す人は地図アプリや検索を使うので、まずGoogleビジネスプロフィールの登録が先です。住所・営業時間・電話番号・写真を埋めておきます。
ホームページ側では、次を明記します。
- 住所(建物名・階数まで)
- 最寄り駅からの徒歩分数と、簡単な道順
- 駐車場の有無
- 営業時間と定休日
地図はGoogleマップの「共有」→「地図を埋め込む」で出るコードを、カスタムHTMLブロックに貼ります。
予約の受け皿をつくる
冒頭の数字のとおり、ホームページからの予約は7.0%です。ここを主役にする必要はありませんが、受け皿は用意しておきます。「ネット予約できる」を重視する人が18.7%いるので、予約サイトに送るだけでも意味があります。
電話をタップで発信できるようにする
意外と抜けているのがこれです。電話番号を文字で置いただけでは、スマートフォンでタップしても何も起きません。リンクにする必要があります。
ボタンブロックまたはリンクの設定で、URL欄にこう入れます。
| 入力する値 | 結果 |
|---|---|
tel:0312345678 | タップで電話をかけられる |
| 03-1234-5678(文字のまま) | タップしても反応しない |
ハイフンは入れても動きますが、市外局番から続けて書くのが確実です。
予約サイトやLINEへのボタンを置く
すでにホットペッパービューティーなどに掲載しているなら、その予約ページへのボタンを置くのがいちばん現実的です。予約の42.6%がそこを通っている以上、自前のフォームを作るより確実に機能します。
LINE公式アカウントを使っている場合は、その友だち追加URLをボタンにします。LINE経由の予約は7.0%で、サロンのホームページと同率です。
ボタンブロックで作り、URL欄に予約ページのアドレスを入れるだけです。ラベルは「ホットペッパーで予約する」のように、押した先に何があるか分かる言葉にします。
問い合わせフォームが必要な場合
予約ではなく相談を受けたい場合は、フォームを置きます。WordPressのテーマにフォーム機能は含まれていないので、プラグインを入れます。Contact Form 7が定番です。
ただしフォームからの予約は、確認の往復が発生して手間が増えます。予約は予約サイトか電話、フォームは相談用、と役割を分けたほうが運用が楽になります。
WordPressで作るメリット
サロン専用のホームページ作成サービスもありますが、WordPressで作る場合は次の利点があります。
- デザイン・構成の自由度が高い
- スタッフ自身でお知らせやブログを更新できる
- 月額利用料がかからず、テーマ代のみで運用できる
- 自社ドメインで記事を書き足していけるため、検索流入も育てやすい
逆に、更新を誰もやらないと決まっているなら、専用サービスのほうが向いています。自分たちで手を入れる前提があるかどうかが分かれ目です。
テーマによって、どこまで用意されているか
ここまでの項目を一から組み立てるのは手間がかかります。サロン向けのブロックテーマを使うと、必要なセクションが最初から入っています。369Themeでは無料と有料の2本を公開しています。
| 項目 | Enyoi(無料) | Blanky Beauty(有料) |
|---|---|---|
| メニュー・料金 | あり | あり |
| スタッフ紹介 | あり | あり |
| アクセス | あり | あり |
| ギャラリー | — | あり |
| お客様の声 | — | あり |
| よくある質問 | — | あり |
| 電話のタップ発信 | 文字のみ(自分で tel: にする) | 設定済み |
| 予約ボタン | 1つ | 3つ(差し替え・追加できる) |
予約ボタンはどちらもコアのボタンブロックで作られているので、ラベルとリンク先を変えれば、そのまま予約サイトへのボタンにできます。Blanky Beautyは3つ並んだ状態で入っているので、「ホットペッパーで予約」「LINEで予約」「電話する」のように用途を分けて使えます。
まずは無料のEnyoiで試すのが確実です。ブロックテーマの操作感はクラシックテーマとかなり違うので、文章で読むより一度触ったほうが早く判断できます。管理画面の「外観 → テーマ → 新規追加」で「Enyoi」と検索すれば、そのままインストールできます。
公開までの流れ
- サーバーとドメインを用意する
- WordPressをインストールする
- テーマを有効化する
- 料金表・写真・スタッフ紹介・アクセスを入れる
- 電話番号を
tel:リンクにする - 予約サイトへのボタンを設定する
- スマートフォンで表示を確認して公開
- Googleビジネスプロフィールにホームページのアドレスを登録する
最後の項目を忘れないでください。「自宅から近い」で探す33.3%の人に見つけてもらう経路がここです。
よくある失敗
公開後に気づきにくい、けれど確実に損をしているものを挙げます。
| よくある状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 電話番号が文字のまま | スマホでタップしても発信できない。気づかれないまま離脱する |
| 予約ボタンの飛び先が未設定 | テーマのパターンは初期状態でリンク先が空。押しても何も起きないボタンが残る |
| 料金が「〜」ばかり | 「料金が明確」を重視する25.3%に対して、判断材料を出せていない |
| 写真をスマホから直接アップ | 1枚5MB超のまま並び、開くのに数秒かかる |
| パソコンでしか確認していない | 見る人の多くはスマートフォン。文字が小さい、ボタンが押しにくい、といったズレに気づけない |
| 最終更新が何年も前 | 営業しているかどうかを疑われる |
2つ目は特に見落としがちです。テーマに入っている予約ボタンは、リンク先が空の状態で配置されています。これは意図的で、どこに送るかはお店ごとに違うためです。公開前に、ボタンを1つずつ押して確かめてください。
確認は、実際のスマートフォンで行うのが確実です。パソコンのブラウザで幅を狭めても、タップの押しやすさや tel: リンクの動作までは分かりません。
まとめ
- サロンのホームページからの予約は7.0%。予約サイトが42.6%で、認知も32.4%がそこ経由
- だからホームページの役割は集客ではなく、見つけた人が確かめに来る場所
- 載せるべきは、初回来店で重視される料金(25.3%)・写真(11.1%)・雰囲気(9.2%)・スタッフ(7.2%)
- 予約は受け皿として用意する。電話は
tel:リンクに、ボタンは予約サイトへ送るのが現実的 - 「自宅から近い」33.3%に応えるのはGoogleビジネスプロフィール。ホームページとセットで登録する
テーマ選びで迷う場合は、そのWordPressテーマ、本当にブロックテーマ?もあわせてご覧ください。国産テーマがブロックテーマかどうかを、公式の定義にもとづいて出典つきで整理しています。
設置や設定でつまずいた場合は、369rescue・369Themeサポートで診断を受け付けています。