369Theme 2026-09

そのWordPressテーマ、本当にブロックテーマ? 見分け方と国産テーマ分類一覧

文:mirokü / WordPress Core Contributor(6.7〜7.1 の5リリースに貢献)。WordPress.org でテーマ6本・プラグイン3本を公開しています。

「WordPress ブロックテーマ」で検索すると「おすすめブロックテーマ○選」という記事がいくつも出てきますが、そこで紹介されているテーマを一つずつ確かめていくと、ブロックテーマではないものが少なからず混ざっています。原因は「ブロックテーマ」と「ブロックエディター対応」の混同です。この記事では、WordPress公式の定義にもとづく見分け方と、国産テーマがどちらに当たるのかを出典つきで整理します。

WordPress公式の定義は、たった1つのファイル

ブロックテーマかどうかは、好みや程度の問題ではありません。テーマ開発者向けの公式ドキュメント「Theme Structure」には、ブロックテーマとして認識されるために必要なファイルが2つだけ挙げられています。

ファイル役割
style.cssテーマのメタ情報
templates/index.htmlデフォルト/フォールバックテンプレート

そして templates/index.html について、公式ドキュメントには「This is necessary for WordPress to consider this a block theme.(WordPressがこれをブロックテーマと見なすために必要)」と書かれています。出典は Theme Structure – Theme Handbook です。

templates/index.html があるかどうかで、WordPressがブロックテーマだと見なすかが決まる。解釈の余地はなく、これが唯一の線引きです。公式に示されているブロックテーマの構成は次のとおりです。

  • templates/index.html 404.html archive.html singular.html など、ページの土台になるテンプレート
  • parts/header.html footer.html などのテンプレートパーツ
  • patterns/|ブロックパターン。中身は .php ファイル
  • styles/|スタイルバリエーションのJSON
  • theme.json|配色・フォント・余白の全体設定
  • style.css / functions.php / README.txt / screenshot.png

「ブロックテーマ」と「ブロックエディター対応」は別物

混同の元になっているのが、この2つの言葉です。

用語意味
ブロックエディター対応記事や固定ページの本文をブロックで書ける
ブロックテーマヘッダー・フッター・投稿一覧まで含めたサイト全体をブロックで組める

ブロックエディター(Gutenberg)はWordPress 5.0から標準の投稿エディターです。いま配布・販売されているテーマは、ほぼすべてブロックエディターに対応しています。対応していること自体は、もはや特別なことではありません。

一方ブロックテーマは、WordPress 5.9以降の「サイトエディター(フルサイト編集/FSE)」でサイト全体を編集できるテーマ形式です。「ブロックエディターで記事が書ける」ことと「ブロックテーマである」ことは、まったく別の話です。

見分け方1|管理画面の「外観」メニューを見る

一番かんたんな方法です。テーマを有効化した状態で、管理画面の「外観」を開くだけ。ダウンロードもドキュメント検索も要りません。

テーマの種類「外観」メニューに出るもの
クラシックテーマ「カスタマイズ」「ウィジェット」「メニュー」がある
ブロックテーマ「エディター」がある

ブロックテーマを有効化すると、WordPressはカスタマイザー・ウィジェット・メニューの各画面を表示しなくなります。ヘッダーやフッターはブロックのテンプレートパーツで作るため、ウィジェットエリアという概念そのものが存在しないからです。

見分け方2|WordPress.orgのタグを見る

WordPress.org公式ディレクトリで配布されている無料テーマなら、テーマページのタグで判定できます。

タグ判定に使えるか
Block themesこのタグがあればブロックテーマ、なければブロックテーマではない
Block editor styles判定に使えない。ブロックテーマにもクラシックテーマにも付く

注意したいのが2行目です。Block editor styles を根拠にすると誤判定します。見るのは Block themes の有無だけです。

この方法が使えるのは、WordPress.orgで配布されているテーマだけです。有料テーマの多くと、一部の無料テーマ(unitone、Cocoon、Emanon Freeなど)は公式サイトからの配布なので、この方法では判定できません。また、同じ名前で別のテーマが登録されていることもあります。たとえばWordPress.orgの「Swell」は海外の開発元による別のテーマで、国内で知られるSWELLとは関係ありません。作者名まで確認してください。

見分け方3|ファイル構成を見る

ファイルを直接確認できる場合は、公式の定義そのものなので最も厳密です。ただし、ここには大きな落とし穴があります。

「PHPファイルが入っているからクラシックテーマ」は誤りです。先ほどの公式構成のとおり、ブロックテーマにも functions.php は入りますし、patterns/ フォルダの中身は .php ファイルです。

  • functions.php両方にある。判定に使えない
  • style.css両方にある。判定に使えない
  • patterns/*.phpブロックテーマにもある。判定に使えない
  • templates/index.htmlブロックテーマにのみ存在。これが定義
  • header.php footer.php single.php search.phpクラシックテーマにのみ存在

テンプレートPHPはブロックテーマには存在しないので、これらがあればクラシックテーマで確定です。テーマ公式のカスタマイズ解説に「子テーマで header.php を編集してください」といった手順が載っていれば、そのテーマはクラシックテーマだと分かります。

見分け方4|公式が自分を何と呼んでいるか

開発元のドキュメント・FAQ・フォーラムで、そのテーマが自分をどう説明しているかを探します。推測を挟まずに済むので、明言が見つかればこれが一番確実です。

「ハイブリッドテーマ」「モダンテーマ」と書かれていたら

テーマを探していると、こうした言葉にも出会います。読み替え方を整理しておきます。

表記意味
ブロックテーマブロックテーマ。「フルサイト編集(FSE)対応」も同じ意味
ブロックエディター対応ブロックテーマではない
ハイブリッドテーマブロックテーマではない。クラシックにブロック機能を一部取り入れたもの
モダンテーマ公式の用語ではない。ブロックテーマとは限らない

WordPressの公式区分にあるのは「ブロックテーマか、そうでないか」だけです。「ハイブリッドテーマ」は公式の分類ではありません。サイトエディターでサイト全体を編集したい場合は、ブロックテーマが必要です。

なお、「ハイブリッド」と名乗ること自体は不正確ではありません。ブロックテーマだと名乗っていないので、むしろ正直な表記です。問題になるのは、それを紹介する側が「ブロックテーマ」として扱ってしまうことのほうです。

国産テーマはどちらに当たるか|ブロックテーマ

よく名前の挙がる国産テーマを、上の基準で整理しました。まずブロックテーマに当たるものです。

テーマ判定の根拠
X-T9Vektor。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)。公式サイトも「フルサイト編集機能に対応した WordPress ブロックテーマ」と明記
unitoneMonkey Wrench。公式サイトが「フルサイト編集に対応したブロックテーマ」と明記。WordPress.orgでは配布されておらず、公式サイトからの直接配布
HakoniwaAnimaGate。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)。説明文も「Block theme」と明記
REALIZERFUJI PRODUCTION。タグ Block themes Full site editing(無料・WordPress.org掲載)
LIQUID AIRリキッドデザイン。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)
LIQUID PRESS BLOCKリキッドデザイン。公式サイトが「フルサイト編集対応ブロックテーマです。」と明記(有料・公式サイトで配布)
LIQUID BLOOMリキッドデザイン。公式サイトが「ブロックテーマ」と明記(有料・公式サイトで配布)
Abira369work。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)
Blanky369work。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)
Enyoi369work。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)
Mobiki369work。タグ Block themes(無料・WordPress.org掲載)
Abira Academy369work。369Themeで配布。個人塾・スクール向け有料ブロックテーマ。
Blanky シリーズ369work。369Themeで配布。サイト向けのBeauty/Work/Studio/Nordicの4種類に加え、Link in Bio 向けのLinkがあります

国産テーマはどちらに当たるか|クラシックテーマ

次に、ブロックテーマではないものです。いずれも優れたテーマですが、サイトエディターでサイト全体を編集する用途には当てはまりません。

テーマ判定の根拠
SWELLLOOS。公式フォーラムに「SWELLはクラシックテーマです」という回答がある。公式ドキュメントにも header.php への言及がある(編集は推奨されていない)(WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
ArkheSWELLと同じ開発元LOOS。Block themes タグがなく、Right sidebar Theme options などクラシックテーマのタグが付く(無料・WordPress.org掲載)
Snow MonkeyMonkey Wrench。同じ開発者が unitone公式サイトで「Snow Monkey はフルサイト編集に対応していないクラシックテーマ」と説明している(WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
SANGO公式カスタマイズガイドに、子テーマで header.php を扱う手順がある(WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
Emanon公式マニュアルが「外観>カスタマイズ>コンテンツ設定」で設定すると案内している(カスタマイザー=クラシックテーマ)。無料版もWordPress.org掲載なし・公式サイトで配布
Cocoon公式が「子テーマで上書きカスタマイズ利用できるテンプレートの場所」としてPHPテンプレートを案内している。親テーマ直下にWordPress標準のテンプレートファイルを置く構成(無料・WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
NishikiAnimaGate。Block themes タグがなく、「外観 → カスタマイズ」で設定する(無料・WordPress.org掲載)
LIQUID PRESSリキッドデザイン。MAGAZINE・CORPORATE ほか。公式サイトが「ブロックエディター対応ハイブリッドテーマです。」と明記。設定はカスタマイザーとウィジェット(WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
AFFINGER親テーマの header.php をコピーする手順が複数の解説で共通している(公式ドキュメントでは未確認)(WordPress.org掲載なし・公式サイトで配布)
LightningVektor。Block themes タグがなく、Footer widgets Theme options Custom background などクラシックテーマのタグが付く。作者はX-T9と同じ Hidekazu Ishikawa(無料・WordPress.org掲載)
EasyChic369work。Block themes タグがなく、right sidebar などクラシックテーマのタグが付く(無料・WordPress.org掲載)
Movaone369work。Block themes タグがなく、custom header などクラシックテーマのタグが付く(無料・WordPress.org掲載)

最後の2本は、当サイトを運営する369workのテーマです。ブロックテーマを中心に作っていますが、クラシックテーマも出しています。この記事の基準は自分たちにもそのまま当てはまるので、同じように分類しました。

分類は本記事作成時点のものです。テーマは更新されるため、最新の状態は各公式サイトでご確認ください。

各開発元は、正しく説明している

ここが大事なところです。上に挙げたテーマの開発元は、どこも自分の製品を偽っていません。それどころか、国内の主要な開発元は、クラシックテーマとブロックテーマを別々の製品として作り分けています。

開発元クラシックテーマブロックテーマ
VektorLightningX-T9
Monkey WrenchSnow Monkeyunitone
AnimaGateNishikiHakoniwa
リキッドデザインLIQUID PRESS(ハイブリッド)LIQUID AIR・PRESS BLOCK・BLOOM
369workEasyChic・MovaoneAbira・Blanky ほか

独立した5つの開発元が、同じことをしています。「クラシックテーマがブロック対応で進化した」のではなく、別の製品として作り直しているということです。業界自身が別物として扱っている、何よりの証拠だと言えます。

分かりやすいのがAnimaGateの例です。同じ作者による HakoniwaNishiki は、WordPress.org公式ディレクトリで Block themes タグの有無が分かれています。2つのページを開き比べるだけで確認できます。リキッドデザインも同様に、ハイブリッドテーマには「ブロックエディター対応ハイブリッドテーマ」、ブロックテーマには「フルサイト編集対応ブロックテーマ」と社内で言葉を書き分けています。

つまり、混同が起きているのは開発元ではなく、それを紹介する記事の側だということです。

国産ブロックテーマは、まだ数えるほどしかない

調べて分かったのは、国産のブロックテーマを出している開発元が、まだ非常に少ないということです。

開発元ブロックテーマ
VektorX-T9(無料)
Monkey Wrenchunitone(公式サイトから配布)
AnimaGateHakoniwa(無料)
FUJI PRODUCTIONREALIZER(無料)
リキッドデザインLIQUID AIR(無料)/ PRESS BLOCK・BLOOM(有料)
369workAbira・Blanky・Enyoi・Mobiki(無料)/ Abira Academy・Blankyシリーズ(有料)

国内で名前の知られたテーマの多くがクラシックテーマである以上、サイトエディターでサイト全体を編集したい人の選択肢は、実質この範囲に限られます。海外製のブロックテーマまで広げれば数は増えますが、今度は日本語表示の問題が出てきます。

まとめ

  • ブロックテーマかどうかは templates/index.html があるかで決まる。WordPress公式の定義
  • 一番かんたんな確認方法は管理画面の「外観」メニューを見ること。「カスタマイズ/ウィジェット/メニュー」があればクラシックテーマ
  • 「ブロックエディター対応」「ハイブリッドテーマ」はブロックテーマではない
  • functions.phpBlock editor styles タグは判定に使えない。どちらにも存在する
  • 国内の主要な開発元はクラシックとブロックを別製品として作り分けている

日本語表示を前提に作られたブロックテーマをお探しの場合は、ブロックテーマとは?日本語対応のおすすめWordPressテーマ9選もあわせてご覧ください。日本語対応で確認すべきポイントと、369Themeの各テーマを業種別に紹介しています。