チラシや口コミだけで生徒を集めている個人塾・学習塾の方に向けて、ホームページをWordPressで作る方法をまとめました。まず「保護者は何を見て塾を決めているのか」を調査データで確認し、そのうえで何を載せるか、どう作るかを順番に解説します。
■ 保護者は何を見て塾を決めているか
塾探しの窓口(合同会社プラスワン)が2025年2〜3月に実施した調査があります。教育サービスを利用させた経験のある全国の保護者が対象で、有効回答は551名です。
| 塾選びで重視した項目 | 割合 |
|---|---|
| 立地・通いやすさ | 71.3% |
| 授業内容・カリキュラム | 40.2% |
| 授業形態 | 37.9% |
| 合格実績 | 33.3% |
| 教育方針 | 26.4% |
同じ調査で「塾を選び直すとき」を聞くと、順位が少し動きます。
| 選び直すときに重視した項目 | 割合 |
|---|---|
| 立地・通いやすさ | 52.9% |
| 授業内容・カリキュラム | 47.1% |
| 合格実績 | 27.6% |
| 講師の対応 | 21.8% |
| 授業形態 | 18.6% |
別の調査でも傾向は同じです。POPERが2022年に保護者300人と学習塾70教室に行った調査では、保護者が重視する基準の1位が「自宅・学校から近い」、2位が「子どもに合うカリキュラムがある」、3位が「講師や教室長とのコミュニケーションが取りやすい」でした。「合格実績」はこれらより下位です。
いずれも民間企業の調査で、公的統計ではありません。ただ2つの独立した調査が同じ順序を示しているので、傾向としては信頼できます。
■ 1位の「立地」は、距離の話ではない
71.3%が「立地・通いやすさ」を挙げています。塾の場所は変えられないので、これを見て「うちは不利だ」と思うかもしれません。
しかし項目名をよく見ると、「立地」ではなく「立地・通いやすさ」です。保護者が本当に確かめたいのは、直線距離ではなく「うちの子が、この生活の中で通い続けられるか」です。
そしてそれは、ホームページで答えられます。
| 保護者が気にしていること | ホームページに書けること |
|---|---|
| 部活と両立できるか | 時間割(何時開始か、遅れて入れるか) |
| 曜日が空いているか | 時間割の空席状況 |
| 一人で行き帰りできるか | 最寄り駅からの道順、夜道の様子、駐輪場 |
| 送り迎えが要るか | 車で待てる場所があるか |
| 休んだときどうなるか | 振替の有無 |
距離は変えられませんが、「通える条件が揃っている」ことは伝えられます。ここを書いていない塾のサイトは非常に多く、逆に言えば書くだけで差がつきます。
なお、地図アプリや「〇〇市 塾」の検索で見つけてもらうには、ホームページより先にGoogleビジネスプロフィールの登録が効きます。住所・営業時間・電話番号・写真を埋めておいてください。無料です。
■ なぜ個人塾にホームページが必要なのか
「地域の口コミやチラシで十分」という個人塾も多いですが、保護者・生徒が塾を検討するとき、実際には次のような行動を取っています。
- 知人に勧められた塾の名前をスマートフォンで検索し、実在を確認する
- コース内容・料金・時間割を比較検討する
- 体験授業の申込方法が分からず、問い合わせを諦めてしまう
ホームページがない、または情報が古いままだと、この検討段階で候補から外れてしまいます。ホームページは「新しい生徒を探しに行く」ためのものというより、「口コミで知った人を逃さない」ための受け皿として機能します。
■ 塾のホームページに載せる項目
保護者がいくつかの塾を比べているとき、判断材料が足りないページは、内容の良し悪し以前に候補から外れます。最低限、次の6つは載せておきたいところです。
- コース内容(重視40.2%):学年と目的(受験対策か、学校の補習か)の両方が分かるように書きます。「小学生コース」だけでは、どちらなのか判断できません
- 時間割(通いやすさに直結):曜日と時間に加えて、その枠に空きがあるかどうか。満席なら満席と書いたほうが、問い合わせの質が上がります
- 講師紹介(選び直し時21.8%):顔写真と名前、一言。子どもを預ける相手なので、経歴の長さより「どんな人か」が伝わることが大事です
- 料金:入塾金・月謝・教材費・季節講習まで書きます。「詳しくはお問い合わせください」は、比較している保護者にとっては答えがないのと同じで、その時点で候補から外れます。金額が高くても、書いてあるほうが選ばれます
- アクセス(重視71.3%):住所と地図だけでなく、最寄り駅から徒歩何分か、駐輪場があるか、夜の帰り道はどうか
- 体験授業の申し込み:電話番号だけにしないことです。平日の日中に電話できない保護者は多く、フォームを1つ置くだけで問い合わせは増えます
なお、検索から来た人は「〇〇市 塾 料金」のように具体的に調べるため、トップページではなく料金ページやアクセスページに直接たどり着きます。どのページから入っても、そこから他の情報に移動できるようにしておきましょう。
■ 時間割の作り方
通いやすさを伝える中心になる部分です。ブロックエディターのテーブルブロックで作ります。「+」→「テーブル」を選び、列は「時限+曜日の数」、行はコマ数だけ用意します。
| 時限 | 月 | 火 | 水 |
|---|---|---|---|
| 1限 16:00–17:30 | 小学生 ○空きあり | — | 小学生 △残りわずか |
| 2限 17:40–19:10 | 中学生 ○空きあり | 中学生 ×満席 | 中学生 ○空きあり |
作るときに気をつける点が3つあります。
- 空き状況を色だけで示さない。色の見分けがつきにくい人には伝わらず、印刷したときにも消えます。「○ 空きあり」「× 満席」のように記号と言葉を併記します
- 開始時刻を必ず書く。「夕方」ではなく「16:00」。部活が終わってから間に合うかを、保護者はそこで判断します
- 満席を隠さない。満席と書いてあるほうが、問い合わせの質が上がります。空いていると思って連絡した人をがっかりさせるより、先に伝えたほうが印象が良くなります
■ 料金の書き方
料金は「書くかどうか」で差がつく項目です。比較している保護者にとって、金額のないページは比較の土俵に乗っていないのと同じです。
書き漏らしやすいのは、月謝以外の費用です。次を一覧にしておきます。
- 入塾金(初回のみ)
- 月謝(学年別・コマ数別)
- 教材費(年間か学期ごとか)
- 季節講習(夏期・冬期・春期)
- 模試・検定の費用
- 兄弟割引などの減額
季節講習が別料金の塾は多いのですが、そこを書かずに月謝だけ載せると、入塾後に「聞いていない」となります。年間で見ていくらかかるかが分かるように書いておくと、問い合わせの段階で認識がそろいます。
金額が変わる可能性がある場合は、「2026年4月現在」のようにいつ時点の金額かを添えます。古い金額が残っているより、時点が書いてあるほうが信頼されます。
■ 体験申込の導線をつくる
塾選びでは、最後に体験授業を受けて決める家庭がほとんどです。ここが詰まると、それまでの情報がすべて無駄になります。
用意するのは2つです。
- フォーム:入力項目は名前・連絡先・希望日程・学年くらいまでに絞ります。項目が多いほど離脱します。WordPressにフォーム機能は含まれていないので、Contact Form 7などのプラグインを入れます
- 電話のタップ発信:電話番号を文字で置いただけでは、スマートフォンでタップしても反応しません。ボタンやリンクのURL欄に
tel:0312345678と入れるとタップで発信できます
フォームと電話の両方を置いてください。平日の日中に電話できない保護者と、フォームより電話が早いと考える保護者は、どちらも一定数います。
■ WordPressで作るメリット
個人塾のホームページ制作には、次のような選択肢があります。
- 制作会社に外注する(初期費用が高め、更新のたびに依頼が必要)
- 無料ホームページ作成サービスを使う(独自ドメインが使えない・広告が表示されるなど制約が多い)
- WordPressで自分で作る(初期費用を抑えつつ、時間割や料金の変更を自分で反映できる)
特にWordPressの「ブロックテーマ」を使えば、コードの知識がなくても、記事編集と同じ操作感でページ全体を組み立てられます。時間割の空きが埋まった、季節講習の料金が決まった、といった変更を自分ですぐ反映できるのは、日々忙しい塾講師にとって大きなメリットです。
■ テーマの選び方
個人塾のホームページ用にテーマを選ぶときは、次の3点を確認しましょう。
- 日本語表示が前提になっているか:海外製テーマは行間・禁則処理が日本語向けでないことが多く、読みにくくなりがちです
- 上に挙げた6つの項目が、あらかじめ用意されているか:時間割や料金表をゼロから組み立てるのは手間がかかります。塾向けに作られたテーマなら、枠が最初から入っています
- ブロックテーマ(サイトエディター対応)かどうか:コードを書かずに、自分でレイアウトを調整できるか
■ おすすめテーマ「Abira Academy」
Abira Academyは、個人塾・スクール向けに設計された日本語対応のWordPressブロックテーマです。買い切り、サイト数無制限で導入でき、月額費用はかかりません。
ここまでに挙げた項目が、最初から入っています。
| 保護者が重視すること | 用意されているもの |
|---|---|
| 立地・通いやすさ 71.3% | 時間割セクション(空席状況つき)、アクセスセクション、教室一覧ページ |
| 授業内容・カリキュラム 40.2% | コース紹介セクション、コース専用ページ |
| 合格実績 33.3% | 合格実績セクション |
| 教育方針 26.4% | ヒーロー、生徒・保護者の声 |
| 講師の対応 21.8% | 講師紹介セクション |
| 料金 | 料金専用ページ |
| 体験申込 | 体験申込セクション(tel:リンク設定済み)、入塾までの流れ |
そのほかの特徴です。
- コース・料金・アクセス・教室一覧の4ページは、ページのスラッグを
courses/tuition/contact/classroomsにするだけでレイアウトが適用されます - 時間割の空き状況は記号と言葉で表示。色だけに頼らない作りになっています
- よくある質問はWordPress標準のブロックで作られているため、キーボード操作や読み上げへの対応がブラウザ側の機能で担保されます
- ヘッダーに文字サイズ(3段階)と高コントラストの切り替えを標準搭載。設定は次回訪問時も保持されます
- カスタム投稿タイプを使っていないので、将来テーマを変えても入力した内容が消えません
- WordPress 6.5以降 / PHP 7.4以降に対応、購入後1年間のメールサポート付き
■ 更新のしかた
コース内容や時間割の変更は、管理画面の「外観 → エディター」からサイトエディターを開いて編集します。記事を書く画面とは別の場所にありますが、操作感はブロックエディターと同じで、コードは書きません。
前述のとおりカスタム投稿タイプを使っていないため、入力した内容はテーマを変えても残ります。そのかわり、お知らせや合格実績のように件数が増えていく情報は、1件ずつテンプレートに追加していく形になります。年に一度の更新なら手間になりませんが、頻繁に増える情報だと積み上がっていきます。
その部分だけ、あとから自動表示に差し替えることもできます。時間割や合格実績を登録するだけで一覧に並ぶようにする改修は3万円から承っており、内容と金額の目安は商品ページの「コンテンツの更新について」にまとめています。
■ 導入の流れ
- 商品ページから購入
- 配布されるzipファイルをWordPress管理画面の「外観 → テーマ → 新規追加 → テーマのアップロード」からインストール・有効化
- ロゴ・塾名・コース内容などをサイトエディターで入力(初期設定の目安は10分程度)
- スラッグが
contactの固定ページを作る(体験申込ボタンの飛び先がここに固定されているため) - 電話番号を
tel:リンクに差し替える - スマートフォンで表示を確認して公開
- Googleビジネスプロフィールにホームページのアドレスを登録する
■ よくある失敗
| よくある状態 | 何が起きるか |
|---|---|
| 料金が「お問い合わせください」 | 比較している保護者の候補から外れる |
| 時間割に開始時刻がない | 部活と両立できるか判断できず、問い合わせに至らない |
| 空き状況が色だけ | 色の見分けがつきにくい人に伝わらず、印刷でも消える |
| 電話番号が文字のまま | スマホでタップしても発信できない |
contact ページを作っていない | 体験申込ボタンの飛び先がなく、押しても表示されない |
| 季節講習の料金を書いていない | 入塾後に「聞いていない」となる |
| お知らせが何年も止まっている | まだ開いている塾なのかを疑われる |
■ まとめ
- 保護者が最も重視するのは「立地・通いやすさ」71.3%。距離は変えられないが、通える条件が揃っていることは書ける
- 次が授業内容・カリキュラム40.2%、授業形態37.9%、合格実績33.3%。合格実績は1位ではない
- 時間割は開始時刻と空き状況まで。色だけに頼らず記号と言葉を併記する
- 料金は季節講習まで含めて書く。「お問い合わせください」は比較の土俵に乗らない
- 体験申込はフォームと電話の両方。電話は
tel:リンクにする - 「近くの塾」で見つけてもらうのはGoogleビジネスプロフィールの仕事。ホームページとセットで登録する
ほかの教室については、英会話教室のホームページをWordPressで作る方法とピアノ教室のホームページをWordPressで作る方法でも解説しています。
テーマがブロックテーマかどうかの見分け方は、そのWordPressテーマ、本当にブロックテーマ?で、公式の定義にもとづいて出典つきで整理しています。